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         帰化植物の出所を探す作業は困難極まりない。

   画像の植物を見つけたのは数年前

   2018年の10月だった。

   空き地に咲いているこの花はかなり目立った。


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   最初は園芸種の逸出かと思った。

   花の側に近づいてみて

   うん、これは帰化植物かも知れないと思った。

   全体の様子が園芸植物とは思えなかったのである。


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   第一印象は、これは只者ではないな

   と思った。

   またたく間にはびこりそうな気配を感じたのである。

   その空き地は大きな火事があって、

   その後何年も放置されたままの場所だった。

   雑草が茂るにまかせたままで、

   それでも草刈りだけは時々されていたが

   新しい家が建つでもなく、火事のあった跡地のせいか

   土地が売れた気配もない空き地だった。


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   撮影しておかなければ、と思ったのだが

   歩いて自宅からその場所に行くには

   少々時間のかかる場所だった。

   多分、来年も出るだろうから、また来年撮影すればいいや

   などと安易に考えていたら

   翌年は何故か花が見られなかった。

   そうなると後悔ばかりで、なんであの時に撮影しなかったのかと

   悔しい思いだけが残った。


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   その翌年、つまり2020年、思いが通じたか咲いたのである。

   こうなったら用意万端、デジカメや三脚、スマホも持って

   標本を採る準備もしてその空き地に出かけたのである。

   帰化植物図鑑なども何冊か見て調べたのだが

   どの図鑑にも載っていなかった。

   ネットに画像を載せたりもしたのだが、反応は

   どこからもなかった。

   こうなったら自分で調べるしかない。


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   写真だけでは実在の証拠にはならないので

   何枚かの標本も作製する。

   画像の記録も茎に生えてる毛の種類がわかるようなものから

   茎葉、根生葉、など調べるための細かな情報がわかるように

   こまごまと撮影する。


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   名前を調べるためにはなるべくたくさんの情報があった方が良い

   無駄と思える情報もなるべくたくさん撮っておく

   上の一連の画像はブログ用のためなので

   あまり多くは撮影していないのだが、本業用のデジカメでは

   もっと細かく総苞のアップから始まり

   事細かに撮影しておく。

   キク科であるらしい事はすぐにわかるのだが、

   そこからが大変なのである。

   昔ならここでお手上げなのだが

   最近のネットは瞬時にして世界中の情報が手に入るので

   なんとも頼もしい時代になったものだと思う。

   そこで片っ端から調べてゆく。

   様々な便利なアプリもあるので、この植物の出所に辿り着くのに

   さしたる時間はかからなかった。


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   そして、中央アメリカや南アメリカ原産の

   Campuloclinium   macrocephalumと判明したのである。

   通称、Pompom   weed と呼ばれている雑草でもあった。

   ポンポンウィードとは、機関銃のような雑草という意味である。

   たくさんの果実ができ、それがタンポポの綿毛のように飛び立つ姿を

   機関銃の弾に例えたものだろうと想像する。

   それどころか私が直感で危惧したように、

   オーストラリアや北アフリカ、西アジアなどに帰化し

   戦略的な害草となっていたのである。


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   この花にはじつに多くの昆虫が集まる。

   特に蝶が多いのは、シノニムとされるEupatoriumだからだろうか

   エウパトリウムとはアサギマダラが良く集まる藤袴などの属である。

   シノニムとは同義という意味。

   上の画像の蝶はツマグロヒョウモン。


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   アオスジアゲハも盛んに吸蜜に訪れていた。

   近づくとすぐに飛んでしまっても、そこでしばらく待っていると

   またすぐに戻ってくる。

   蝶を写す人たちにとっては格好の花なのかも知れない。

   調べてみてカンプロクリニウム属なんてはじめて知った。

   シノニムならばエウパトリウム属の方がはるかに馴染みがあるので

   こちらを使って欲しいな、と思うのだが、原産地のアメリカでは

   カンプロクリニウム属が16種類もあるのである。


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   花がなかなか美しいので植えたいと思う人がいるかも知れない

   だが、帰化植物の多くは、日本の植生にどのような影響をもたらすかが

   全く予想できない。

   アメリカでの自生地の様子を拝見すると、一面この花で

   ピンクの絨毯のようになっている風景が多く見られた。

   セイタカアワダチソウが大群落となっているような光景である。

   その風景を見ながら、何らかの警告を発しなければならないかも

   と思っている。


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   今現在自生が確認されているのは、愛知県内の数カ所だけである。

   豊橋市、田原市、蒲郡市、半田市などである。

   他県では自生の確認はない。

   何か良い和名はないかと考えていたら、すでに和名は付けられていた。

   私の友人のT氏が、ポンポンアザミという名前を付けていたのである。

   彼から写真も見せられ、ポンポンアザミという名前を付けた

   という事も聞かされていたのに

   全くその事を失念していたのである。

   T氏は愛知植物の会で主に帰化植物やシダに熱心に取り組んでいる。

   2016年の愛知県産維管束植物チェックリストには、すでに

   ポンポンアザミの名前で載せられていてギャフンとなった。

   このところのコロナ禍で、標本同定会にも参加していなかったので、

   もっと早くに彼に標本を見せていたら、こんな苦労はしなくて済んだのに、

   と思ったが

   原産地を探る、という面白い体験もできたので、

   それはそれで良かったこととする。


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   ひょっとすると、あなたの住んでいるすぐ近くにも

   こんな花が咲いているかも知れません。

   ポンポンアザミ です。

   覚えてくださいね。












   画像は2021年10月8日、9日、11日 愛知県半田市で。

   いずれもスマホで撮影。

   クリックすると大きくなります。調べる時の参考にしてください。

   感想のコメント歓迎します。

   

   
カテゴリー 旅行、アウトドア
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