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   愛知県内の蛇紋岩地のひとつに

   国の天然記念物に指定された新城市中宇利の蛇紋岩地がある。

   貴重な植物の自生地なのだが、特に手入れがされているわけではない。

   数十年にわたって見てきているが、環境は決して良いわけではない。

   蛇紋岩地という特性を全く知らないで、この場所を日本一の桜の園にする

   といった阿保な計画はその後どうなったのか。

   桜の苗木が育つはずもなく、ヤブ山化が激しい。

   最近は特に笹が猛烈にはびこり、登山道付近の草刈りをしていない所では

   秋の野草たちはほとんど姿を消してしまった。

   蛇紋岩というのは超塩基性でマグネシウムやアルミニウムなどの

   金属成分を多く含む。

   特に岩肌が露出して崩壊地となっているような場所では

   耐性を持った極めて特殊な植物しか育たないのである。

   そもそもが貧栄養な上に、マグネシウムなどの金属成分は

   植物の根に害を与える。

   それゆえ、それらに耐性のある特殊な植物集団となるのである。


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   中宇利の蛇紋岩地を特徴づける第一の植物は

   やはりミカワマツムシソウだろう。

   上の画像が花盛りの状態なのだが

   マツムシソウを知っている人が見ると絶句してしまうかも知れない。

   貧弱な上に花が小さく坊主頭のようで

   花の周りの舌状花がほとんどないのである。

   いや正確には舌状花が出るものもあるのだが、

   その数はまばらで、マツムシソウのような華やかさはない。

   たまたまうまい具合に両方が並んで咲いたところがあったので

   近づいて撮ってみた。


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   こんな感じである。

   赤茶色の蛇紋岩の露出地や崩壊地はあちこちにあるのだが

   毎年ミカワマツムシソウが咲く場所はほぼ限られている。

   中宇利全域で見られるわけではない。

   2年草だが、来年咲く株のロゼットは、今年の花が咲いている時に

   すでに足元周辺の礫地に葉を広げている。

   横に這うような形でアカマツも侵入してきているが、

   枝先が枯れてしまうものも多い。

   ともかく絵にしずらいマツムシソウである。


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   何輪かの花にピントを合わせるのがやっと

   四方八方に横枝を延ばすものも多く

   まとまって咲いているように見えても、近づくと

   意外とバラバラなのである。

   赤く見えるのはワレモコウ。この花も蛇紋岩地に入り込んでいて

   ミカワマツムシソウと同じような坊主頭のような花である。

   ミカワマツムシソウの比較的花の多い、絵になるような株を探したのだが


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   上の株がこの日のナンバーワンだった。

   微妙に角度や露出を変えながら何枚も摂った内の

   ベストワンである。




   

   この蛇紋岩地を特徴づける第二の植物はヤナギノギクである。

   山路野菊が蛇紋岩変形して葉が極端に細くなったものと考えられている。

   こちらもひょろひょろと、ともかく貧弱である。


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   枝振りもよく、花つきも良い株を探すのは、ミカワマツムシソウ同様

   こちらもなかなか見つからない。

   花の色は白から薄紫。

   なるべく色の濃い花でたくさん咲いてるものを、と思うのだが

   徒労に終わった。

   ロングはだめだが、一輪の花のアップなら綺麗なものを選ぶことができる。



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   花をアップで見ると、いかにもやさしい野菊で

   咲きはじめは鮮度も良く可愛い。

   遠くから眺めると茶色に見える蛇紋岩だが

   何もないように見えても、最初の画像の足元には

   こんなに小さなヤマジソが生えている。

   人が立っていたのでは気が付かない小さなサイズだが

   立派に花が咲いている。


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   花の大きさは数ミリという小ささだが

   思い切りクローズアップにすると、花は立派に花だと主張している。

   今月も末になれば、ここにはムラサキセンブリがたわわに咲き

   リンドウやサルトリイバラの赤い実が熟す。

   蛇紋岩地を少し離れた山の斜面では今を盛りと萩の花が咲いていた。

   ツクシハギである。


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   この山の斜面にこんなにも多くのツクシハギがあったかな、と思うほど

   大きな塊となって茂り、おりしもの風に

   しな垂れた枝が揺れていた。

   秋の風情をしみじみと感じる風景でもある。


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   おそらく実生から数年であろう小さな株も

   それなりの花を咲かせていた。

   この山に登った一番の目的はオケラの撮影だったのだが

   オケラが今ひとつパッとしなかった分を

   満開のツクシハギが補ってくれた。

   肝心のオケラには淡紅色と白の花がある。

   どちらもたくさんあったのだがお眼鏡にかなう株がなかった。


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   ツクシハギがきれいだったから、まぁいいか、と

   相棒の待つ里へと下山する。

   下山の道々、登りの時に目をつけておいたエンシュウハグマを写す。

   かつては素晴らしい群生地でもあったのだが、

   年々個体数が少なくなっている。


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   地域限定の魅力ある花なので、登山道だけではなく、

   この山の斜面の笹薮を刈ったら

   さらに良い状態なることは目に見えているのだが

   もし関係者が見ていたら、そんなことをアドバイスしておきたい。

   豊かな植生を取り戻すためには、理想的には野焼きなのだが

   せめての笹薮刈りは必須条件である。

   ハイキング気分で軽く登れる山だが、久しぶりの遠出で

   いささかハイになりすぎた。

   足取り軽く下山した里山の畑の一角では、色の濃いコスモスが

   ちょっとしたお花畑となっていた。


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   2021年10月4日 愛知県新城市の蛇紋岩地で。

   撮影はデジカメとスマホを併用しています。

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   大きな画面でもお楽しみください。

   先日群馬県の松井さんと電話で話していて、

   最近はブログも全く更新されていなので、と

   言われ久しぶりに書いてみましたが、

   さてどんな仕上がりになっているのか。

   相変わらず相性は悪いです。あはは

   あまりにも久しぶりすぎて見に来てくれる人は

   はたしているのだろうか。




   
カテゴリー 旅行、アウトドア
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