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   ガンガラーの谷は、鍾乳洞が崩れてできた谷である。

   一部にはまだ立派な鍾乳洞も残っている。

   ここは勝手に入ることはできず、ツァーガイド付きでないと入れない有料施設である。

   以前から気になっていた場所である。


   
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   一体どんな植物がどのように生えているのか

   いささか気になっていた。

   今年1月になってから、沖縄を訪ねるのはこれが2度目である。

   しばらく暖かい南西諸島にいたせいか、愛知の自宅に帰るなり風邪をひいてしまった。

   その風邪が完治しないまま再び沖縄にやってきた。

   今回は沖縄本島だけである。

   さすがに沖縄は暖かい。あまり無理をせず、今回は観光気分で回ってみた。


   
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   入り口は鍾乳洞。その下がティーラウンジになっていて、そこでしばし待たされた。

   時間になるとガイドから一通りの説明があって、さんぴん茶の入った水筒を一人ずつ渡されて

   いざ出発である。

   入り口の鍾乳洞を抜けると、すぐに青々と茂った森が広がった。


   
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   ガイドがゆっくりゆっくり歩きながら説明してゆく。

   はじめての場所なので私はあちこちキョロキョロしながら植物を見ている。

   見慣れた植物ばかりで、とりたてて珍しいものはない。

   前回の下見で、目的の植物がまだ咲いていないことがわかっていたので

   今回は風邪気味のこともあり、三脚や本業用のデジカメは家に置いてきた。

   代わりに手持ちで簡単にパチパチと写せるキャノンのM3とスマホだけが今回の撮影道具である。


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   ガイドは植物にはあまり詳しくないようだった。

   孟宗竹よりも太い、古い時代に植えられた竹や、いちめんに群生しているクワズイモの名前は告げたが

   大きな葉の下で咲いているクワズイモの花があることなどは、説明がなかった。

   とりたてて珍しいものが生えているわけではないが、散策路は良く整備されていた。

   国道のすぐ近くでありながら、原始の森の雰囲気は感じられた。


   
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   とりわけアカギなどの大木に着生する植物が多かった。

   そのほとんどがシダなのだが、着生ランでもないかと梢を見上げるのだが

   それらしい植物は見つけられなかった。

   水辺でもあり、その大部分がシダなのである。

   着生している姿がなかなか絵になるので、ついつい皆からは遅れがちになる。


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   倒れかかった大木に、見事なまでにシダが着生している。

   上の左画像はヤエヤマオオタニワタリ、右の垂れ下がっているのはホウビカンジュである。

   こんな樹の下をくぐり抜けたりしながら進んでゆく。

   そして最初のポイントであるイナグ洞に到着である。

   イナグとは女性を表す言葉だそうだ。


   
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   石灰岩の深い穴が続いているようだが、そこは神聖な場所でもあるので

   入り口からただ中を覗き込むだけである。

   それにしてもこのあたり一帯はシダの宝庫、さながらシダの海である。

   とりわけ多いのはオオイワヒトデである。

   バサバサと茂っている。


   
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   思わず本当にオ・オ・イ・ワぁ~とダジャレでも言いたくなるほどの量である。

   かつて四国の足摺岬の近くで、真剣に撮影したことがあるのだが、ここに来れば思いのまま

   好きな場面を、どうとでも表現できそうである。

   第二のポイントはイキガ洞。イキガとは男性を表す言葉である。


   
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   暗い鍾乳洞に入って行くので、入り口で数人おきにカンテラを渡された。

   天井からは無数の鍾乳石が垂れ下がっている。

   気をつけていないと、大きな鍾乳石にぶつかりそうになる所もある。

   抱きかかえられないほどの巨大なものもあれば、大小さまざまな鍾乳石が垂れ下がる。

   数万年の時を経て、今もなお成長を続ける鍾乳石

   陰と陽とに見立てて信仰の対象になったのであろうことは、容易に想像できた。

   だからこそイナグ、イキガという地元の言葉が、今も生き続けているのであろう。


   
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   かつては海底であった場所を、大岩の間をすり抜けたりしながら歩いて行く。

   相変わらずシダが多い。

   隆起珊瑚の石灰岩の壁面を垂れ下がっているのは、新芽ならば食することもできる

   ホウビカンジュである。


   
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   やがてこの谷のハイライトとも言えるガジュマルの大木に行き着く。

   ガジュマルとしてはそれほど大きな木ではないのだが、無数の気根が谷底まで伸びているので

   景観としてはまさに圧巻。

   観光客の多くが驚きの声を発する場所でもある。


   
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   この樹の幹のように見える1本1本すべてが、気根なのである。

   気根とは幹や枝の途中から空気中に伸びだした根のことで、ガジュマルでは主に

   つっかい棒の役目をしている。

   このガジュマルの樹のすぐ横を道路が走っているので、時たま通り過ぎる車が見えている。

   多分こんな谷だからあるだろうな、と思っていたウスバシダが出てきた。


   
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   日本では沖永良部島以南に分布する南国のシダで、やや湿り気のある隆起石灰岩に多い。

   西表島などでも撮影しているが、本来が熱帯のシダである。

   ガンガラーの谷の最後が武芸洞と呼ばれる鍾乳洞である。

   ここで日本人のルーツではないかと思われる人骨の化石が、ほぼそのままの形で発見された。

   1970年のことである。

   港川人と名付けられたその人骨は、今から2万年前にここで生き暮らしていたのである。

   発掘調査は今もなを続けられている。

   それゆえ勝手には入れない場所となっているのである。

   最近の調査では、世界最古と言われる2万3千年前の釣り針なども見つかっている。

   ゆったりとした時の流れのように、ぽたりぽたりと鍾乳石から雫が垂れる。

   その石灰岩の割れ目には、ホウライシダが目についた。


   
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   悠久の時の流れを感じるこの場所で、ガイドは最後の説明をしてくれた。

   それぞれが、どんな思いでこの時短のツアーに参加したのかはわからない。

   ただ、単なる物見遊山の観光客とは違うと感じたのは、個々人で参加申し込みをした人が多かったこと。

   ピーチクパーチクと賑やかな人達がいなかったことだけは幸いだった。

   それにしてもガンガラーの谷は、シダの種類が多い谷だった。

   最後に人骨の化石がほぼそのままの形で見つかった武芸洞の画像をお目にかけて

   沖縄でのある1日の報告としたい。


   
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   撮影は2019年1月30日 沖縄県のガンガラーの谷で。

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   撮影はいつものスマホのカメラとキャノンEOS M3です。

   今回はシダが中心になりました。

   花は翌日に色々と撮影しましたが、今年は例年より花期が早いと感じました。

   感想などお聞かせいただけると喜びます。
カテゴリー 旅行、アウトドア
ラベル 風景植物
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